技術とセンスについて

呑気な親子
呑気な親子

創作において、技術とセンス(才能と言い換えてもいい)のどちらが大切でしょうか。

正解と思うことを先に書けば、ジャンルによって違う、と思います。

大体において、技術は人を感心させますが、センスは人を感動させます。

絵画なら、圧倒的に技術よりセンスが大切でしょうが、経験上、陶芸やレザークラフトなら、センスより技術が優先されると思います。

もちろんどちらも大切なのですが、自分がかかわっているジャンルで、どちらが優先されるのか知っておいた方がいいと思います。

 

また、同じジャンルでも、作風によって、技術とセンスのバランスが違ってきます。

例えば羊毛フェルトの場合、本物そっくりに作ろうとすると、技術力が要求されますが、自身の世界観を表現するなら、センスが要求されます。

ぬいぐるみの場合、型紙制作は技術ですが、どのような型紙をつくるかはセンスの問題です(技術が追い付かないため、作りたいぬいぐるみを作れない、という問題は常にありますが。)。

 

残酷なことに、技術は磨けば磨くほど向上しますが、センスは生まれつきの部分も大きいのではないでしょうか。

ただ、教室で大勢の生徒さんを指導していて気づいたことですが、本人が持ち合わせているセンスにも大抵の場合、数種類あり、本人が気づいていないものも多々あります(岡目八目という言葉の通り、傍で観ている方が気づきやすい。かなり時が経過してから本人が気づくことも多い。)。

 

以前、ある著名な陶芸家のワンデイレッスンを受けたとき、その方が言うには、長らく不遇の時代が続き、ある時ふと戯れに作風を変えて展示会に出展したところ、そこから急激に売れるようになったようです。

 

その方の以前の作風は技術的に高いレベルに到達していたのですが、やや崩して、遊んでいるような作風にしてから売れるようになったのです(但し、高い技術力があったからこそ、崩しても魅力があったと言えるかもしれません。)。

 

 

技術はセンスを活かすためのものです。教室で、「早くうまく作れるようになりたい」という方には、「素敵な作品を作れるようになりましょう」とアドバイスしています。