かなり前に観たテレビで、時々思い出す番組があります。
その番組は、日本に定住している外国人のライフスタイルを紹介するものですが、僕が思い出す回は、日本に住んで農家を営むイギリス人の話です。(最近はテレビをあまり観ないのですが、海外の人が日本に定住するにも、日本人が海外に定住するにも、本当に様々なドラマがあって、尽きない面白さがあります。人生いろいろだな、と思う次第です。)
このイギリス人は、「日本の田舎の風景は、イギリスの田舎に比べて、本当に美しい。イギリスの田舎は、変化がなく、ヒツジと牛がいるだけで、とても退屈な風景だ。」というのです。「えっ、そうなのか」という意外な驚きがありました。日本と比べ、イギリスの郊外はとても美しいと思っていましたから。
以前、教室のメンバーから聞いた話ですが、長らく乾いた欧米に住んでいて、久しぶりに帰国すると、日本の瑞々しい風景が、とても美しく感じられると言っていました。
この話を聞いたとき、くだんのTV番組を思い出して、「やはり、そうなのか」という感じがしました。おそらく、旅先で訪れた風景も、そこに住む人とは、違ったレンズを通してみているのでしょう。
他人の所有物や環境を見る目も、とんでもなく歪んだ(一部分を拡大した)レンズでみている可能性があります。特に「羨ましい」という考えの大半は、この偏った視点から生じるものではないでしょうか。
海外作家のぬいぐるみ/テディベアはとても美しく、チャーミングに思えるのですが、
この視点も、無数にあるレンズや視点のひとつから見ているに過ぎない、全く異なって見える角度がある、さらに言えば、見えていない部分の方が大きい、ということを、常に忘れないでおきたいと思います。
いちど、外国人の視点で、(自分の作品を含め)日本人作家の作品を鑑賞してみたいものです。
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