僕がメインに制作しているのは、動物の人形とぬいぐるみがメインです。多少ブローチのようなアクセサリーも制作していますが、今のところ、(価格を低く抑えられるので)展示場での人寄せパンダ的な作品です。
この、人形とぬいぐるみには、アンティークというジャンルがあり、少なくとも、50年以上前に作られたものが、このジャンルに入ります。
アンティークの人形ぬいぐるみは、実に独特の魅力にあふれています。
ヨーロッパでは、家具や食器などで、古いものを大切に扱う習慣があり、アンティーク市場が充実しているようですが、人形に関しても、古いものが、価値あるものとして扱われています。
しかし、テディベアやぬいぐるみなどは、子供が長い間抱いて可愛がったため、毛が抜け、目、腕や足が今にも取れそうで、痛々しいものがありますが、それがまた格別な魅力になっています。ヨーロッパなどで世代を超えて可愛がられたぬいぐるみは風格さえあります。
テディベア作家、ぬいぐるみ作家の中には、意図的にアンティーク風に作る方がいますが、意図的に作っても魅力が出るとは、不思議なものです。
以前通っていたテディベア教室で、アンティーク風のテディベアを作る際は、そのクマが持ち主にどういう風に可愛がられて、古ぼけていったかのストーリーを持つのが良い、例えば、頭をたびたび撫でられたクマさんは、あたまの毛が他より抜けているだろう、という話を聞き、成程な、と思ったものです。
以前、1980年代に作られたイギリス製の、中古の革靴を購入した時、その靴を、どんなイギリス人が、どの町を、どんな気持ちで歩いていたのだろう、と思うと、とてもロマンをかき立てられたのを覚えています。
アンティークの人形、ぬいぐるみにも、一体一体のストーリーがあり、それに思いをはせるのも、コレクターの楽しみなのでしょう。
自分には、アンティークの人形ぬいぐるみをコレクションする趣味はありませんが、古ければ古いほど、強烈な魅力をもった作品が多く、きっと、長い歴史を生き抜き、様々な人に大切にされてきたのでしょう(戦火も免れた運の強さもあると思います。)。
世界中で、今作られている数多くの作品のうち、100年後に残るものは、一体どれだけあるのでしょうか・・・。