素晴らしい絵本

絵本が好きです。MOEという絵本をテーマにした雑誌もよく読みます。

大人が観ても読んでも楽しめる絵本を発見しては、宝物のように慈しんでいます。

今回は、その中でも、佐野洋子の有名な絵本「100万回生きた猫」、大人が何度でも読み返えして、読むたびに違う印象を受ける、愛らしくも切ない絵本を紹介します。(このBlogを読む方の殆どが知っていると思いますが。)

絵も文章も、共に秀逸で、どちらが欠けても成り立たない、もう日本ではこれ以上の絵本は出ないかな、と思われる名作ですよね。

読んだことがない方のために、ごくごく簡単にストーリーを書きますと、

「猫は、色々な人の飼い猫となり、100万回生まれかわっては、様々な飼い主のもとで死んでゆく。飼い主は猫の死を悲しむが、猫は飼い主のことが嫌いだからまったく悲しまなかった。あるとき猫は野良猫となったが、自分に興味を示さなかった白猫の気を引こうとするうちに、プロポーズをし、時がたつと、白猫はたくさん子供を産み、年老いてゆき、やがて猫の隣で静かに動かなくなる。その時猫は初めて悲しんだ。猫は100万回も泣き続け、ある日泣き止んだ。そして、とうとう白猫の隣で動かなくなり、決して生き返ることはなかった。」

男女の愛をテーマにした絵本だと言えますが、もっと普遍的な愛をテーマにしているようにも読めます。幸福とはなにか、について書いているようにも読めます。輪廻転生と解脱を描いているようにも読めます。

特筆すべきことは、絵自体が文章で書いている以上のことを語りかけてくることでしょう。作者が敢えて文章にしなかったことを絵に語らせる。

これが絵本の醍醐味といえるのですが、まさにこの点においても100万回生きた猫」は傑作と言えます。

もし、読んだことがない方がいらっしゃったら、どこの図書館でも置いていますので、是非ご一読ください。

この本を読むたびに、不遜にも絵本を描いてみたいな、と思います。