ぬいぐるみの入門書

自分が、テディベア/ぬいぐるみの世界に入っていくきっかけとなったのが、夜想(YASO)の「ぬいぐるみ」特集(2012年発刊)を、新宿紀伊国屋本店の芸術書コーナーで、ふと気まぐれに手に取った時です。

それまで、全くぬいぐるみには興味がなかったのですが、陶器で動物を作り始めていた頃で、夜想が、丁度陶芸に関する書籍の隣に並んでいたため、目に入り、ぬいぐるみの造形が、陶器制作のヒントになるかも、と思ったからです。

まず、表紙のhippie cocoさんの、ふざけた犬に「これは一体何??」。

パラパラとめくるうちに、想像力の塊をぶつけられたようで、激しいショックを感じました。今まで自分の頭の中にあったぬいぐるみとは全くことなり、掲載された作品の半分以上が、可愛いと言うより、奇妙な、変ちくりんな、怪しげなムードが漂っていて、「今はこんなものがぬいぐるみと呼ばれているんだ、こんなのが作りたい!」と思いました。

これを見たときは、テディベア/ぬいぐるみ作家に対する知識ゼロだったので、早々たる個性派人気作家がセレクトされているとも知らず、本を買った後、その場で、スマホで調べ、直ぐに伊勢丹のテディベアコーナー(残念ながら今はありません。)にいったのですが、ここには、従来の自分の常識の範囲内のテディベアが並んでいて、その落差に再び驚いたのを覚えています。

多少の知識がついた後で、この特集に掲載された人達の大半が、テディベア/ぬいぐるみ作家の中でも、群を抜いて個性的であったことを知らされましたが、最初の出会いがこの本であったことは、実に幸運でした。

果たして、この本に出合わなければ、ぬいぐるみを好きになっていたかどうか。

その後しばらくは、この本に掲載された作家の作品(作家さん本人も含め)に出会う度に、「夜想に出ていた作家の作品に出会えた」、と感激していました。

有難いことに、一旦、この夜想のぬいぐるみ特集を見てしまったことで、完全にぬいぐるみの面白さにハマってしまい、その後の作品制作に大きく影響していったのです。