友人から聞いた話。
友人は公務員ですが、お父さんがプロのデザイナーで、そのお父さんが良く言っていたセリフが次のようなものだったといいます。
「作家とプロは違う。作家は自分の思うままに、自分の世界観を表現する人で、それで食べていけるかどうかは別問題である。プロは、クライアント、お客の要望に応えることが出来ないといけない。かつ、その道で得られる収入で、家族を養えなければならない。自分は家族を養うために、作家の道は断念し、プロに徹した。食えない作家は、しょせんアマチュアだ。」
この話を聞いた時、頭をガツンとやられた感じがしました。
自分は、プロと作家の違いを、曖昧にしていたので、彼のお父さんの悲痛な決意を思い、やはり、どの道も、プロの道は甘くないな、と思いました。
おそらく、10代、20代の若者は、様々なジャンルの、自分の進む道で、将来の夢を描きます。
特に、写真を含めたアートの世界を目指す人は、仕事で自分の世界観を表現できる、というのが、最大の理由でしょう。
ところが、ごく一部の、卓越した才能で、時代に愛された人以外、自分の世界観を表現すればするほど食えない、ということになります。
勿論、この事実には気づいていましたが、食えない人=しょせんアマチュア、ということは思ってもいなかったので、「アートだけで4~5百万円稼げない人は、アマチュアという定義もあるのか(一人の田舎暮らしなら、もう少し収入が少なくてもいいのでしょうが、まあ世間相場なら、4~5百万でしょう。)」と気づき、ショックを感じたのです。
でも、つらつら考えれば、世間一般の考えは、「食えて初めてプロ」というのは、ごく当たり前のこと、プロの反対概念はアマチュアというのも、当たり前のこと。
何度も書いていますが、今は創作をする人にとって、発表や販売の場が沢山あります。
人形やぬいぐるみ、テディベアの作家で、教室経営は除いて、それだけで食べていける人は、一体どれだけいるのか。以前通っていたテディベアの教室では、テディベアだけで食べている人は、日本に5人もいないだろう、と言っていました。
うーん、ということは、狭い市場で、プロでない人達が、しのぎを削っているということか?
いや、人形やぬいぐるみの人気作家で、自分のことをアマチュアだと思っている人は一人もいない(と思う。)はず。
そこで結論。世間的には、食えてこそのプロだとしても、当人がそれに全エネルギーを注いで、全生涯を賭けていれば、その人にプロの称号を与えたい、と思います。
言葉に拘る必要はないのですが、世間がどういおうと、他に仕事を持ちながら、創作をメインとして活動している人たちは、プロに違いない。
これは舞台俳優や、ミュージシャンも同じですよね。
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小熊屋いとさん (木曜日, 07 5月 2020 22:26)
お父さまの言葉、ありがとうございます。モヤモヤとしていた『プロ、アマチュア、アーティスト』区分が、今ハッキリとした気がします。
私は調理師で、現在。自分の得意とする手仕事を生業にしたいと考える、高齢の女性です。
調理の仕事を続け、その現状にガッカリし、
(調理師さんて、時代に乗れない想像力の少ない、自分しか見えない人も多くて)ね。
でも、若い頃いわれた「てめぇみてぇなセミプロに言われたくねーんだよ」の言葉がなぜか心に突き刺さってた。
こういう意味だったんだなって。
あなたも甘えないで。
最後の5行は、自分への甘えと・・・思えちゃう。
お父様、ご健在でいらしたら、
こんなおばちゃんがいてさー。てな具合で、
その話題、ふくらましてくれるヒトトキが二人に訪れる事を祈ります。
あなたのお父様、一つの事を成し終え。
その上、赤の他人にさえ、影響を与える凄い人なのだと。私は思いますよ。
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